(………コノエ。ずっとあいつの唄を聞いていたような気がする。もっと一緒に居たい。置いていかないで欲しい。そんな、悲しみにも似た愛しさが込められた唄……)

「っ!?」

目を覚ますと陽の月は沈んでいて、代わりに陰の月が辺りを照らしていた。

先ほどの唄は気のせいだったのだろうか・・・。

いや・・・違う。

先程までではないが微かに痛む右腕を見ると、あれだけの深手だったにも関わらず出血どころか

傷も見当たらない。

(そういえば、はっきりとは覚えていないが、あの馬鹿猫が泉がどうとか言っていた気がする…)

見ると体も服を着てはいなかった。

(あいつはどこに行った?)

コノエの姿が見当たらないことに気付いたライは辺りを見回す。

ぱしゃんっ

ライは水の跳ねる音に気がつくと泉のほうへと向かった。

「……何を泣いている。馬鹿猫。」

「っ!?」

コノエは泉の中で佇みながら泣いていた。

溜息をつきながら佇んでいるライに気がつくと睨みながら泣いてなんかないと悪態をつく。

いつもと変わらぬ態度のコノエが微笑ましい。

「そんな顔で言われても説得力がないな。」

ライは苦笑しつつコノエの傍まで行くとその体を抱きしめた。

「っ!」

強張る体をそのままに優しく髪を梳きながら耳をざりざりと舐める。すると体の強張りも和らぎ戸惑いながら下に下ろしたままだった腕をライの背中に回した。

水の冷たさとライの体温が心地いい。

「………心配…かけた…」

ふいにらしくもなく謝罪の言葉がライの口から紡がれた。

「……………。」

珍しく謝罪の言葉を口にしたにもかかわらず、コノエはなにも言わない。そのことが無性にライの焦燥を掻き立てる。

「何か言え。馬鹿猫」

言いながら抱きしめていた体をわずかに離すとコノエはふいと顔をそらす。

「……み…んなよ。」

言うとコノエは耐え切れずまた涙を流した。

それをみたライは苦笑しながら馬鹿猫と言い目元に口付ける。

いつもならムッとするその言動でさえも今はただ嬉しくてたまらない。

しばらくライは涙を流し続けるコノエをあやし続けた。

そんな中コノエはふと気がついた…。

「……………………」

「………何だ。」

自分を見つめるあきらかな視線に気づきライが尋ねる。

しばらく言うのを戸惑っていたが浅く息をつき決心したようにコノエが口を開く。

「……あんた…なんで裸なんだ?」

腕で先ほどまで抱きしめていたライの体を押し返す。するとライは今更だという顔をした。

「なんだ、さっきからこの姿でいるじゃないか…」

「っ!そうじゃない!なんで起きたときに服着なかったんだよ!」

近くに置いてあっただろと視線をそらしながら顔を真っ赤にして悪態をつく。

「泉へ入るのに服を着るやつなどいるか。馬鹿猫が」

ライが緩やかに口端をあげた。



あとがき・・・・(反転)

はい。up遅くなってしまって申し訳ないです(汗

私生活のほうがいろいろとバタバタしてまして・・・

次はつきに濡れ場です(照

18禁になりますのでお気をつけ下さい!